ビジョナリーカンパニー ジェームズ・C・コリンズ ジェリー・I・ポラス

ビジョナリーカンパニー ~時代を超える生存の原則


この本ではビジョナリーカンパニーとそれ以外の企業で
「何が違いをもたらしているか?」を書いた本です。

(ビジョナリーカンパニーとは業界で卓越した企業、
同業他社の間で広く尊敬を集めている企業のことを指します。)

そして、結論から書くと、何が違いをもたらすかというと・・・


「基本理念」です。

今まで経営学の授業や監査論の内部統制の統制環境の
ところで「基本理念」やこの言葉に近い言葉を聞いていました。

しかし、

何か漠然としていましたし、基本理念なんて経営にそんなに
影響ないでしょう?と思っていたのですが、

この本を読んでから、基本理念こそが長期的に成果を
あげるために不可欠であろうことが理解できましたし、
「基本理念」に興味がわきました。


以下各章のまとめを書いてみます。


■1章

・12の神話 P11

「素晴らしい会社を始めるには素晴らしいアイデアは不要である」
「カリスマ的指導者は不要である」「職場はカルトのようだ」のように、
一般に考えられていることとは逆のことが書いてあります。

・分析手法について P22,24,26

物事を理解するときに「比較」するという手法は極めて有効です。
ですが、いくつかのルールを守らないと意味のない比較になります。


まず、共通項を抜くだけでは駄目ということ。例えば会計士試験
合格者は毎日10時間勉強しているとか専門学校に通っている
という共通項をもってきても役に立たない。


次にレベルが違いすぎるものを並べても意味がない。例えば、
模試の成績が最下位の人と上位の人を比較して違いを見つけて
ても、お互いレベルが違うので役立てにくいです。


最後に、比較をする場合現時点だけではなく、全体を見ること。
財務分析でもそうですが、最新のものを見るのは、フルマラソン
のゴールの瞬間を写真でとっただけです。


走り方(企業でいえば企業行動)を理解するためには、どのような
走り方をしてきたかを観察するために全体を見る必要があります。

(企業分析をするならデータを最低10年は集めよう)

■2章

・時計を作る建築家であれ P37

いうなれば、テストの結果を上げることよりまず、テストの点数が
上がるような生活習慣を作り上げなさいということです。

企業においては、経営者が変わっても継続的に基本理念が
変わらず受け継がれていく組織体制をつくることをいいます。

このような組織体制ができていないと、経営者が去った時に
組織は混乱に陥ってしまうからです。

・ANDの才能を活かす P73

普通はORで考えてしまいます。例えば、彼女と仕事どっち
が大事か?とかこれを買うかあれを買うか?など

ビジョナリーカンパニーはANDの思考をとります。
相対すると考えられることを、なんとかしどちらも
とれるように考えることです。

なんだかわかりづらくなったのでもっともシンプルな例で
たとえると、

親からプレイステーションポータブルと任天度DSのどちらが
欲しいか聞かれたら、「どちらも欲しい」ということです。

(片方を諦めないこと)

■3章

・基本理念の要件 P110

基本理念というぐらいだから崇高なものでないと
いけないというわけではありません。

要はその基本理念を従業員が熱烈に
信じていればそれでいいんです。

アダルトサイトの基本理念が、「男の欲をバーチャルに
満たすことによって平和を実現する」としましょう。

ここでPTAなどが何と言おうが、社会が何と言おうが、
そこで働く従業員が「そうだ」と思えればいいってことです。


■4章

特になし

■5章

・BHAGを設定しろ P161

BHAG(大きな目標だと思ってください)があると人は
猛烈に働く。

逆に人が無気力なのはBHAGがないから。

大学で研究に没頭してる研究者とかは特にこのBHAG
がある人でしょう。

今の日本も無気力な人が増えてるといいますが、これも
目標がないからじゃないでしょうか。

先代が追いつけ追い越せで頑張ってきてくれたおかげで
生活が豊かになり、ガンばらなくてもある程度の生活水準は
維持できます。

ちなみにこの本では、月面着率するとか、大型ジェット機の
開発などその開発当時かなりリスクがある例が挙げられています。


人は自分の人生(時間)を「何か大きなもの」に費やしたいんだと思います。


■6章

・カルト組織に近い P204

ビジョナリーカンパニーは全ての人にとって働きやすい
場所でも自由な場所でもありません。

会社の基本理念に会う人を採用し、基本理念をひたすら
体に染み込ませていきます。

そして、基本理念が染み込んだうえで、権限を委譲し
創造性を発揮させます。

すぐれた企業と聞くと、誰でも働きやすい企業をイメージ
していたのですが、そのイメージが覆されたのが読んでいて
面白かったです。

これから就職する人は、会社の基本理念を読むことは必須です。


■7章

・創発的戦略 P240 248 257

この本で創発的という言葉は使われていませんが、
そのような考え方です。

「色々試してうまくいったらそれを大きくしよう」というのが
ビジョナリーカンパニーの特徴です。

ウォルマートを例に、ビジネススクールでは創業者は計画的に
企業を経営していたと教えられるのですが、
創業者の息子によれば、そんなことはなかったそうです。


■8章

・トップが経営理念を維持できる体制を作ること P295

人間には寿命があるので、次のトップを誰にするかを考えて
おきなさいということです。

ビジョナリーカンパニーではそうでない会社と
比較して次のトップを養成する準備が整っていることです。

ここで大事なことは、あくまでも基本理念を維持させることが
必須となるので、生え抜きの社員を育てることが大事とされます。

社外から持ってくると、基本理念が異なるので社員が
混乱してしまうからです。

ちなみにビジョナリーカンパニーとされなかった企業のトップは
自分の後継者を意図的につくることをしなかったり、急に
トップが死亡したりして必要になったが社内でトップを育てる
準備をしておらずにやむを得ず外部から補充しています。

■9章

・常に成長すること P315 317

大事なことは自分に対する要求を極めて高くし、
常に将来のために投資をするようにすることです。

特別な秘密があるんじゃなくて、目標を高く持ちそのために
努力をし続けるからビジョナリーカンパニーになのです。

また、企業としても従業員が現状に満足して努力を
怠らないように、競わせ不安を感じさせることにより努力
をさせるといった「仕組み」が紹介されています。

前日記でも書きましたが、人が努力するのは100%自己実現
のた目じゃないと思っています、おそらく30%くらいは勉強
しないと仕事ができなくなるといった不安から努力もしています。

こういった心理をうまく使うことですね。

■10章

・覚えてほしい4つのこと P370

1、時を告げる預言者になることなく、時計をつくる設計者になれ

素晴らしい製品を開発するのではなく、素晴らしい製品を
継続的に開発できる組織を作れってことです。

2、ANDの才能を重視しよう

2つのものが目の前に提示された時、どちらか一方しか
手に入らないという考え方を捨て、どちらも手に入れるということです。

「二兎追う者は一兎も得ず」

ではなく、

「二兎追うもは二兎得る」

ということです。

3、基本理念を維持し、進歩を促そう

基本理念だけは変えてはならず、この基本理念に基づくような
チャレンジをしようってことです。

基本理念は憲法のようなものです。

4、一貫性を追求しよう

基本理念を作るだけでは不十分。基本理念にあうように
人事制度や戦略、行動を整えることです。

基本理念に「チャレンジングな会社であれ」とあるのに
トップが戦略として保守的なことばっかりしていては、
基本理念と戦略が適合せず社員が混乱します。


この例では、保守的な人がトップになること自体
人事制度がうまくいってないという批判にもなりますね。

■管理人による全体のまとめ

「基本理念」がどれだけ経営に影響を与えているか、そして
統制環境を学ぶ時に、内部統制の土台であると教わったが、
まさしくそうだなと納得できた一冊。

(ほとんどケースを書いていませんが、本書では370P近くに
渡り基本理念のある企業とそうでない企業の比較が多数あります)

今では無味乾燥で面白くもなく興味の対象ではなかった
基本理念を企業ごとに読んでみたくてたまらなくなった。

いつか自分の会社を作ることになったら、もう一度
この本を読み返し、基本理念を作ってみたい。

しばらくは、往査先の企業の経営理念を読んで分析したり、
自分の「人生理念」なるものを作って実践したい。

おわり

ps

やはり名著といわれるもは読んでいて興奮するし
発見がありますね。。

この調子で「イノベーションのジレンマ」や
「ブルーオーシャン戦略」も読もう。

ps

そういやもう8月です。

去年は暑いなかオリンピック柔道を見ていましたが、
一年は早いですね。